魅力的な都市の創造には
戦略、組織、制度づくりが欠かせない
経営・経済の観点から人々の豊かな都市生活を実現するプロフェッショナル
橋本 倫明
このような問題意識のもと、私は経営学や経済学の知見と、会計監査の観点から様々な組織運営を見てきた実務経験に基づいて、人々のニーズを捉える魅力的な都市を創るための戦略、組織、制度づくりを研究しています。
今日、企業が激しい生存競争にさらされているように、少子高齢化や人口減少、ライフスタイルの変化、物流や交通網の発達などの要因によって都市間の生存競争が激しさを増しています。このような状況を生き抜く都市は、自らの資源の価値を見直し、地域住民・企業・自治体など様々な主体の協働を通じて、変化する人々のニーズに適応するようにその魅力を再構築する必要があります。この環境変化適応のための自己変革能力は企業経営の世界でダイナミック・ケイパビリティと呼ばれますが、今まさに、都市のダイナミック・ケイパビリティが求められているのです。

図1 史跡足利学校

図2 あしかがフラワーパークの藤棚
企業経営と同じように、すべての都市にとってベストな経営方法は存在しません。私はこれからも都市の戦略、組織、制度の探究と調査を通じ、それぞれの都市に適した経営のあり方を提言していきたいと考えています。
略歴
慶應義塾大学商学部卒。同大学院商学研究科修士課程および後期博士課程修了。博士(商学)。あずさ監査法人(現 有限責任あずさ監査法人)に勤務し、会計監査を担当。慶應義塾大学商学部助教を経て、2017年より現職。経営戦略(とくにダイナミック・ケイパビリティ論)、企業境界、コーポレートガバナンスといった企業経営に関連する広範な問題を解決すべく、組織の経済学等のアプローチに基づいて研究活動をおこなっている。経営哲学学会理事。
著書:『ダイナミック・ケイパビリティの戦略経営論』(共著,中央経済社)、『企業の不条理――「合理的失敗」はなぜ起こるのか』(共著,中央経済社)、『経営哲学の授業』(共著,PHP研究所)
論文:「Self-Expansion or Internalization as the Two Processes of Vertical Integration: What Informs the Decision?」(Economies)、「企業の垂直境界設定に関する一般理論の構築に向けて」(日本マネジメント学会)、「ダイナミック・ケイパビリティ・ベースのコーポレートガバナンスー日本版コーポレートガバナンス・コードにおける取締役の役割に着目して」(経営哲学)、「企業の競争戦略と垂直境界―取引コスト理論分析」(三田商学研究)、「コーポレートガバナンス制度としての内部告発制度――内部告発制度をめぐるエージェンシー理論分析」(経営哲学)、「洗練された競争戦略論―取引コスト理論を組み入れた競争戦略論」(三田商学研究)など。
担当科目
経営戦略論、経営学概論、都市の経済学、マーケティングリサーチ演習(1)、コンピュータ演習ほか