パブリックスペースの計画とマネジメントのプロフェッショナル

坂井 文

今、多くの欧米の都市で公園・広場の計画や再整備を通してまちの活性化が成し遂げられています。インターネットによっていつでもどこでも行ったような、そして誰とでも会ったような気分になれるご時世だからこそ、身体性をもって都市の醍醐味を感じることのできるパブリックスペースが必要だと考えています。グローバル化がすすみ多種多様な人々の集まる都市を安心安全に楽しむためにもパブリックスペースのあり方が問われています。
学生時代、訪れた欧州のまちに普通に存在していた広場は、生まれ故郷の東京になぜないのか?と考え続けていました。だから東京で広場になる可能性のある場所とは駅である、と考え就職先を決め、広場をデザインするためには外部空間の設計について米国で勉強せねばとボストンに留学し就職しました。でも欧州のまちを見るにつれ、それぞれの社会システムの産物として広場は都市空間に存在していることに気づき、カルチャル・ランドスケープの視点から考えようと英国に渡り博士論文に取り掛かかりました。 ロンドン市に伝統的に整備されてきたスクエアーについて、それまで限られた特定の利用者のための共用庭園であったものが、なぜ現在の誰でも利用できる公園となったのか。その歴史的経緯を探った研究を通して、広場の成立過程とは、その社会の公共性のなりたちの経緯を具現化していると思えました。公共性とは?という大きなお題を、パブリックスペースの計画とマネジメントからずっと考えています。
わが国にも都市開発によって多くの「広場」と命名された空間がつくられてきています。一方で、都市公園という名のもとに多くの公共の「公園」がつくられてきました。こうしたパブリックスペースは今後の持続可能な都市の発展にむけてどのように計画されマネジメントされていくべきなのでしょうか?まちの活性化の起爆剤としてもその効果が期待されていますが、互いに知らない人々の行きかう都市のなかで、誰もが利用できる場所をどうやって安全で心地よい場としてマネジメントしていけばよいのでしょうか?経済活動に溢れる都市のなかで、パブリックスペースの価値をいかにつくりだし育てていけばよいのでしょうか?そんな課題に対応するためには、歴史や事例に学び理論を構築することと、デザインや計画技術を磨く両輪が必要と考えています。

略歴

横浜国立大学工学部建築学科卒業。ハーバード大学デザイン大学院ランドスケープ・アーキテクチャー修士修了。ロンドン大学PhD。一級建築士
JR東日本にて駅ビル開発や駅施設設計にかかわる。修士終了後、ボストンのササキ・アソシエイツにて米国の 大学キャンパスや都市公園の計画設計を担当。オックスフォード大学、UCLA等で客員研究員。国土交通省、内 閣府、スポーツ庁の委員会や検討会、新宿区や台東区の景観審議会、横浜市環境創造審議会などの委員。都市 計画学会監事、建築学会、造園学会等の学会活動。北海道大学工学部建築都市コース准教授を経て現職。

著書:『英国CABEと都市景観・建築デザイン』(鹿島出版会、2014年)等
論文:「イギリスにおける都市開発にともなう公的貢献制度の変遷と運用実態」(日本建築学会計画系論文集、82巻739号)、“Re-assessing London’s squares : The development of preservation policy 1880-1931” (Town Planning Review vol.82 no.6)等

担当科目

エリアマネジメント、ランドスケープデザインほか

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