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「ビジネスシミュレーション」

ビジネスやプロジェクトの成否を「見える化」する未来プランナー

永江 総宜

皆さんは「自然エネルギー」を知っていますよね。太陽光発電や風力発電に代表される自然エネルギーは、原子力発電所が大きな事故を起こした今、改めて注目を集めています。でもいまだに日本で自然エネルギーが発電に占める割合は2~3%程度。良いものならばすぐに採用すればいいのに、これは一体なぜでしょう?。発電量が不安定だったり立地と送電の問題など様々な課題があるのも事実ですが、大きな問題の一つは発電効率がまだまだ低いこと。
例えば家庭用の太陽光発電装置を設置すると、電力会社に売電できるため、お得だと言われています。でも本当にお得なのでしょうか?。学生に簡単なシミュレーションをしてもらったところ、設置費用の元を取るのに10年から15年くらいかかることがわかりました。さあ、これは「お得」でしょうか?。もちろん、電力会社の買取価格や国の補助制度によっても条件は変わります。また、発電効率も年々向上しているので、なかなか一概には言えません。学生に聞いてみても意見は「得だ」と「そうでもない」にくっきりと分かれました。実際、皆さんが太陽光発電装置を買うとしたら、しっかり条件を考慮してシミュレーションしてみないと、実際にお得かどうかなかなかわかりません。このように長期的な採算性を考えるのは結構難しいものです。
長期的な採算性といえば、オリンピックのような大規模イベントも、それを注意深く考えなければならないものの一つです。以前、日本でサッカーのワールドカップが行われた時、日本全国で会場となる大規模スタジアムが作られました。開催時には日本中が盛り上がり、スタジアムにも多くの人が詰めかけました。しかし、それ以降はスタジアムを埋めつくすようなイベントは特に地方で数少なく、多額の維持費に苦しんでいるところも多いようです。これは「過剰投資」の問題の一つで、企業経営や大きなプロジェクトにはつきものです。
私が関わったある自治体の集客施設も、収益が減ってきたのに、建物の減価償却費を多額に計上しなければならず、その負担に苦しんでいました(お金が無いわけではないのですが)。ところがある会計手法を使ったら、次の年度から赤字が黒字に・・!?。ごまかしているわけでもないのに、ケースによってはこんな魔法のようなことも起こります。しかもその理由をしっかり理解していれば、その後の意思決定も間違えません。さて、オリンピックの後も新国立競技場はかなり活用されると思いますが、その他の競技場はどうでしょうか。もっとも、昔ドイツ南部のバイエルンの国王がノイシュバンシュタイン城という自分の理想の城を作ろうとして国の財政が破たんしかけたのですが、現代ではそれが多額の観光収入を稼いでいるのですから、現代まで含めてシミュレーションしたら面白そうですね。

略歴

横浜国立大学大学院経営学研究科修士課程、同国際経済法学研究科修士課程修了。経営学修士、修士(国際経済法学)。株式会社三菱総合研究所、会計事務所勤務を経て、淑徳大学国際コミュニケーション学部教授、経営学部教授を歴任。自治体の事業運営や地域開発プロジェクトなどに関わる会計実務や事業性評価などを担当。財務だけでなく、人事・労務や組織から広報・環境・福祉など幅広い経営分野からビジネスシミュレーションを研究する。

著書:「事業収支計画の基礎と展開」(創成社)「会計の諸機能(共著)」(創成社)「循環型社会への提言(共著)」(研成社)。

担当科目

会計学概論、簿記論、マーケティングリサーチ演習(1)(2)ほか

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