都市生活学部のキャリア形成教育と就職実績
「都市生活学部はなぜ就職に強いのか」

1.都市生活学部の人材育成方針

都市生活学部は、国内外の都市における、「社会課題」を分析し、解決策を提案できる人材を育成します。都市における「社会課題」は、今後ますます複雑で横断的になっていくと想定されます。そこに人々の「価値ある都市生活」すなわち質の高い働き方、暮らし方、楽しみ方を提供することは、ますます重要になってきます。「価値ある都市生活」とは、私たちの生活の質を向上させる商品やサービス、街の賑わいや個性的な空間、人々の心を刺激し豊かにする文化、環境と共生する穏やかな社会などを指しています。そしてそれらを支える制度とシステムも含まれています。
都市生活学部では、このような都市生活の様々な社会課題を調査分析し、構想・企画へと描きあげる人材、そしてその実現と継続のためのマネジメントを担う人材を、教育と研究の両面で育成します。そのために、商学・経営学に基礎を置き、工学技術マインド、デザインマインド育成する教育を行っています。また、国際的な視野を持って、企画・実行・運営業務を担えるような実践教育を行っています。

都市生活学部の5つの人材育成方針

  • 1.都市における持続可能な「価値ある都市生活」を実現するために、空間・製品・サービスをデザインしマネジメントする(企画・設計・実現・運営)人材を育成
  • 2.都市の「社会課題」や「潜在特性」を調査分析し、多様な専門家の意見も踏まえて多様な解決提案をまとめ上げ、新たな価値を創造する人材を育成
  • 3.日本だけではなく、世界を視野に幅広く活躍する、「ビジネスプロフェッショナル」を育成
  • 4.地域とコミュニティ・マネジメントの構築・創造の視点で、都市の課題を考え実践する人材を育成
  • 5.都市における「価値ある都市生活」を実現する様々な領域において、実践的かつ専門的 な研究を行う人材を育成

2.キャリア形成教育の特徴

都市生活学部におけるキャリア教育の特徴は、「形に残るキャリア形成」を目指して1年生から3年生までの3年間にわたり必修科目としてキャリア形成のプログラムを持ち、入学時から卒業後のキャリア形成も見通した教育・指導を行っていることにあります。

1年次、2年次、3年次の必修科目「SD-PBL (1)」、「SD-PBL(2)」、「SD-PBL(3)」では、10名程度の少人数クラス単位で、社会人基礎力を養成するため、社会課題に対する解決策や提案などを事実に基づき考察し、分析する能力を養います。また、担当教員との個別面談を通して、キャリア形成にむけた相談を行うとともに、将来の目標に向けた意識づけを促します。
3年次の必修科目「キャリアデザイン」は、努力したことを客観的に評価してもらえるように資格取得、語学向上や海外インターシップ、海外大学との共同研究ワークショップなどに向けた活動を支援しています。例えば、業界の最新状況を第一線で活躍する企業を招聘し、企業活動の理解を深めたり、目標に向けた活動履歴を教員と共有することで学生の成長について個別面談を通して支援したりする内容となっています。加えて、キャリア支援センターとキャリア教育の専門家や企業の人事担当が行う様々な講義を中心としたシラバスを組み立てています。
また、海外・国内インターンシップ制度も充実しており、3年生の夏季、秋季を中心に多くの学生がインターンシップに参加しています。 このように授業、インターンシップや資格取得講座をはじめとしたキャリア支援プログラム、きめ細かい個別面談などが一体となったサポート体制をとっています。

図表2 キャリア形成のステップ

3.就職実績

3.1.社会からの高い評価

2014年度以降、99%以上の高い就職率を維持し、2018~21年度の卒業生は4年連続で100%の就職率を達成しました。学部創設以来、高い就職率を誇る都市生活学部ですが、これらの実績からも、都市生活学部の卒業生に対する社会や企業の期待の大きさが窺われます。 都市生活学部の人材育成力に対する社会からの評価の一例として、「学部系統別実就職率ランキング」では、都市生活学部は、商・経営系で全国 2 位(東京都市圏で1位)の評価でした。
(大学通信オンライン 2021年8月https://univ-online.com/article/career/16898/)

3.2.多様多彩な就職先

文理融合の都市生活学部らしく、就職先が多様多彩なことは大きな特徴です。(図表 3.2 参照)一つの専門領域を深く学びながらも幅広い分野の知識やスキルも身につけた十字型人材の育成という、学部の教育の特徴が良く表れています。これは、多くの学生が、概ね専門分野を活かせる自ら希望した業種に進んでいるということでもあります。 業種別にみると、都市のマネジメントに関わる「不動産」、「建設・住宅」、都市の暮らしに関わる「卸売り・小売業」、AIやIoTなどDX(デジタル・トランスフォーメーション)に関わる「情報通信業」といった業種の合計が55%と最も多くなっています。

図表 3.2 都市生活学部の就職状況 2021年度(2022年3月調査)

都市生活学部2021年度

業種 人数 比率
不動産 29 21.8%
建設・住宅 29 21.8%
情報通信業 15 11.3%
専門・技術サービス業 13 9.8%
卸売業・小売業 12 9.0%
製造業 6 6.8%
金融業 3 2.3%
その他 23 17.2%
総計 133 100.0%

3.3.著名な企業にも続々就職

日本経済を牽引する企業、業種を代表する企業、上場企業、注目企業等の著名な企業に続々と就職していることも特徴です。これらの企業は、当然就職活動での競争が激しく、有力大学の大学院生や学部生も応募しますが、社会課題への対応力、発想力などが評価され、都市生活学部の学生は次々と結果を出し続けています。なかでも不動産や商業開発のマネジメント分野、情報サービス、金融は、特に強い分野と言えるでしょう。近年では、外資系企業やベンチャーなどへの就職も増えてきています。

以下、卒業生の主要な就職先企業です。

不動産総合開発、オフィス・商業施設開発、ビルマネジメント
清水総合開発(株)
東急住宅リース(株)
東京ガス不動産(株)
三井不動産商業マネジメント(株)
(株)アトレ
(株)タカラレーベン
旭化成不動産レジデンス(株)
(株)西武プロパティーズ
住友不動産販売(株)
日本ハウズイング(株)
(株)東急モールズデベロップメント
JR東京西駅ビル開発(株)
(株)長谷工ライブネット
京急開発(株)
(株)ハリマビステム
(株)長谷工コミュニティ
専門・技術サービス業
パシフィックコンサルタンツ(株)
JR東日本ビルテック(株)
三井デザインテック(株)
(株)パルコスペースシステムズ
東急プロパティマネジメント(株)
(株)間瀬コンサルタント
住友林業アーキテクノ(株)
(株)住環境研究所
(株)ラックランド
建設・住宅
積水ハウス(株)
住友林業(株)
三井ホーム(株)
大和ハウス工業(株)
大東建託(株)
横浜市住宅供給公社
旭化成ホームズ(株)
東亜建設工業(株)
(株)三栄建築設計
公務員
東京都庁
世田谷区役所
三浦市役所
富士見市役所
金融業・保険業
(株)りそな銀行
(株)七十七銀行
(株)みずほフィナンシャルグループ
モルガン・スタンレーMUFG証券(株)
第一生命保険(株)
多摩信用金庫
卸売業・小売業
(株)良品計画
(株)パルコ
(株)東急ストア
いすゞ自動車販売(株)
(株)JR東日本リテールネット
ジェイアール東日本商業開発(株)
ゼビオ(株)
情報通信業
富士ソフト(株)
日本情報通信(株)
(株)日立社会情報サービス
(株)大塚商会
(株)フォーカスシステムズ
(株)ソリトンシステムズ
製造業
(株)オカムラ
東急テクノシステム(株)
山崎製パン(株)
日本電子(株)
その他
(株)よみうりランド
(株)星野リゾート・マネジメント
(学)東海大学
相模原市農業共同組合

4.これから将来に予測される状況

最後に、これから将来にわたる変化と必要とされる人材像について列挙しておきましょう。

5つの社会動向とCOVID-19の影響

  • 1.就職活動の通年化
  • 2.インターンシップなど実務、ビジネスとの繋がりがますます重視される
  • 3.グローバル化によって語学力(英語力)の活用機会が増加
  • 4.社会課題への対応力や即戦力となる学生を希望する企業が増える
  • 5.人口減少社会で、特に地方での人材ニーズの高まり

COVID-19によるワークスタイルやライフスタイルの変化は、今後の社会に大きなインパクトを残すと考えられます。少なくともこれまでとは違った仕事や生活の価値観・行動様式が浸透していくのは間違いなさそうです。このような変化にも柔軟に対応できる人材育成が今、求められていると考えています。リアルとバーチャルの混在した中でのコミュニケーション力の向上やデジタル革命の急速な進化にも対応できる人材などが求められています。
しかし、短期的な視点ではなく、将来を展望したなかで、必要なスキルや経験を持てば、どのような経済環境であっても必要とされる人材となります。都市生活学部ではそういった対応をしっかりとるフォーメーションを構築しています。
近年では、インターンシップは必須の経験となりつつあり、就職活動も前倒しの傾向にあります。また、これまでのような1つの専門性を深くというよりは、多面的なモノの見方ができるといった、求められる人材像も変わってきています。もちろん、専門性と人間力を持つ学生の育成という根本は、どのよう社会状況になろうと、変わるものではありません。