2020年

2020.12.20

学生による研究室紹介11(住宅生産研究室)

都市生活学部には19の研究室があります。3年生から各研究室に配属になります。各研究室配属の学生から研究室を紹介してもらいます。第11回は「住宅生産研究室」です。

 

■研究室の概要 ~持続可能な都市生活を実現するためのモノやサービスの研究

住宅生産研究室の特徴は三つあります。一つ目は自由に研究ができることです。住宅について学ぶイメージをもつ方も多いと思いますが、実は研究内容が多様です。「住」に関してはマンションの維持管理BIMや住宅ローン、防災について研究する方もいますが、バーチャルYouTuberのこれからを考察するような研究をしている人もいます。二つ目は人との関わりが深いことです。他大学(東京都立大学・東洋大学・関東学院大学等)との交流もあり、合同合宿や共同研究を通じて、親交を深めています。また、先生が東京大学で関わられた方をお招きし、最先端のモデリング方法やスキャニング方法に関する技術セミナーを開催することも行われています。三つ目は就職先が多岐にわたることです。学んだことを生かし、建築業界や不動産業界に勤める方がほとんどですが、研究内容が自由であるが故に、交通産業や金融業界に勤める方もいます。もちろん大学院に進学し、知識を深めスペシャリストを目指す方もいます。

 

指導教員である信太先生は、新日軽株式会社(現 株式会社LIXIL)でカーテンウォールやサッシ等の実施設計をされていた背景があるため、授業では納まりの話になると熱が入ります。今年のBIMの授業では、LIXILのファサードサイエンス分野の研究者をお呼びし、ファサード・エンジニアリングの基礎を教える等、新たな展開を試みています。

 

■研究室の取り組み  ~住民の参加を組み込んだ仕組みづくり

建物の持続可能性を実現するためには「住民の参加が必要不可欠である」という考えのもと、参加の「場」となる建築情報の生成に力を注いでいます。代表的な研究プロジェクトは以下の二つになります。

 

【マンションの維持管理BIMの開発】

都内の大規模マンションを対象に、長期持続性及び災害レジリエンスの向上に関する研究を、他大学と共同で進めています。我々の研究室では、大規模改修に向けた住民の合意形成を支援するための維持管理BIMの開発に着手しました。現在は設計図書を頼りに、積算が可能となる形状情報の詳細度を検討しています。

 

【計測データによる建築情報の生成】

2018年、飛騨高山にある築約140年の町家を対象に、3Dレーザースキャナー・レーザー距離計・メジャーを使った計測を行い、点群データとBIMで改修前の建築情報を生成しました(写真1)。このプロジェクトは、建物と共に生活してきた地域住民の記憶を残す大切さを知る機会になりました。また今年度は、広瀬鎌二アーカイブズ研究会の協力のもと、広瀬作品の点群動画を作りました。今後は、これらで得た知見をもとに、戦後の有名建築や一般住宅を対象としたデジタルアーカイブのあり方を探求する予定です。(図1)。

 

 

写真1:町家を計測する学生の様子

 

 

図1:点群データによる建築情報の生成(第3回広瀬鎌二建築展にて)